第2期監督評議会選挙：シンギュラリティコミュニティDAOにおける監督評議会の役割

第2期監督評議会（SC）と選挙の概要

シンギュラリティネット財団は、第2期監督評議会（SC：Supervisory Council）の選挙手続きを開始しました。今回のSCの任期は6ヶ月で、分散化ブループリント（設計図）の策定が焦点です。

選ばれた3人のSCメンバーは、主にシンギュラリティコミュニティDAO（SCDAO）のタスクフォース内でコミュニティを代表します。このタスクフォースは、SC、ドメインエキスパート、シンギュラリティネット財団の3つのグループから構成されており、SCはコミュニティとSCDAOタスクフォースの他のメンバーグループと協力し、指定された期間内に分散化ブループリントの提案を作成します。

12人のメンバーから成るSCDAOタスクフォースは、SingularityNETの完全な分散化とコミュニティの統治の推進に取り組みます。このイニシアティブは、コミュニティ主導の分散型AIプラットフォームを実現するためのプロセスの開発と、自由で規制のないAIを実現するためのツールの作成を行います。これにより、人類は包括的で民主的で有益なAGIへの道を切り拓く機会を得ることができます。

分散化ブループリントの策定と監督評議会の役割については、SingularityNETの投票発表文書で確認できます。候補者には、自身が立候補をする前に、この文書の内容を熟知していることが期待されています。また、今回の任期で選出されたSCメンバーは、自身の利益を優先する可能性のあるルールや条件を設定するリスクを回避するため、今後、他の選挙で役職に就くことができません。

監督評議会の目標

監督評議会の総合的な目標は以下の通りです。

• コミュニティとSCDAOタスクフォースの仲介
• 適切なガバナンス方法の定義と適用
• 組織を安定的かつ持続可能な未来に導く
• 人類とすべての個人のために有益なAGIを開発するために、SingularityNETのミッションとビジョンの整合性を守る

監督評議会の役割

以下の資料より、 第2期監督評議会の役割に関する具体的な内容を確認できます。

監督評議会（SC）プロセスと報酬

第2期監督評議会は、新たに3人のメンバーで構成されます。応募はSwaeポータルを通じて行われ、候補者のプロフィールはウェブサイトに公開されます。SingularityNETは各監督評議会メンバーと各専門家に固定の報酬を提供します。その見返りとして期待されることは以下の通りです。

• 各監督評議会メンバーは週に4〜8時間をSC関連のタスクに費やすこと
• その他の要因（追加の作業時間、経験、知識、付加価値など）に応じて特定のメンバーに報酬を支払うこと

監督評議会は、この追加予算を分配するための条件とガイドラインを設定し、他のコミュニティメンバーに自治プロセスの実行の手本を提供します。また、監督評議会は必要に応じて、この可変ファンドを外部の専門家に割り当てることも決定できます。

固定報酬

報酬はAGIXトークンで支払われ、月毎に鋳造されるトークンの一定の割合で算出されます。以下の表は、AGIXトークンの交換レートが1トークンあたり0.18ドルの場合の6か月間の報酬を仮計算したものです。3人の監督評議会メンバーと5人のドメインエキスパートの報酬は、以下の通りです。

鋳造月	SC会員1人当たり固定AGIX報酬（ドル換算）	エキスパート固定AGIX報酬（ドル換算）	変動型AGIX総額報酬/月（ドル換算）
2023年9月	11,392（$2,050.56）	6,835（$1,230.30）	45,567（$8,202.06）
2023年10月	11,221（$2,019.78）	6,732（$1,211.76）	44,883（$8,078.94）
2023年11月	11,052（$1,989.36）	6,631（$1,193.58）	44,210（$7,957.80）
2023年12月	10,887（$1,959.66）	6,532（$1,175.76）	43,547（$7,838.46）
2024年1月	10,723（$1,930.14）	6,434（$1,158.12）	42,893（$7,720.74）
2024年2月	10,563（$1,901.34）	6,338（$1,140.84）	42,250（$7,605.00）
2024年3月	10,408（$1,872.72）	6,242（$1,123.56）	41,616（$7,490.88）
2024年4月	10,248（$1,844.64）	6,149（$1,106.82）	40,992（$7,378.56）
2024年5月	10,094（$1,816.92）	6,057（$1,090.26）	40,377（$7,267.86）

説明責任と報告

各監督評議会メンバーと専門家は、以下の情報を記録します。

• 費やした時間（半日を単位とした細かい粒度で十分）
• 関与した活動
• 成果物／付加価値

監督評議会は、費やした時間、変動予算の配分、活動と成果物について、2か月毎に報告する責任があります。これには、各メンバーの時間と活動の配分も含まれますが、SingularityNETの参加者は除外されます。このプロセスの目的は、コミュニティが費用と価値の創出を把握し、各メンバーの貢献と付加価値を評価できるようにすることです。

追加のツールやサポートのための予算

監督評議会と関連業務に使用できる予算は、毎月のトークン発行量の1.5％ですが、ブループリントの作成時に一時的に25％に増加されます。この措置により、新規発行トークンの1.875％が利用可能になりますが、増加した0.375％は新たに発行されるのではなく、既存の監査評議会ウォレットの残高から提供されます。

• 新たに発行されるトークンの1.125％相当が、タスクフォースメンバー（SC、専門家、変動予算）に割り当てられます。
• さらに0.5％がアンバサダープログラムに割り当てられます。
• 残りの0.25％はタスクフォースの合意に基づいて、プロセス、人材、またはツールをサポートするために使われます。

応募資格者

候補者は、SingularityNETの価値観、ミッション、およびビジョンに強く従うことが不可欠で、それは、分散型、民主的、包括的、かつ有益なAGIの実現を意味します。

さらに、各候補者には上記の設定された要件に従うことが期待され、それにどのように合致または逸脱するかを明確に定義することが要求されます。候補者には、証拠に基づく知識と経験をもとに、組織に価値を提供することが期待されています。

なお、シンギュラリティネット財団と明確な契約で定期的にサービスを提供している人は、監督評議会のメンバーシップから除外されます。

候補者として応募する方法

候補者になりたい方は、Swaeポータルを訪れて情報を提出し、コミュニティの質問に答えたり、ソーシャルメディアでの対話に参加することが求められます。応募期間終了後、コミュニティイベントで紹介され、2023年10月11日から17日までの1週間の選挙を経て、新しい監督評議会が確定します。

専門家としてタスクフォースに参加したい方は、Swaeのプラットフォーム上で「ミッション」を開始しますが、投票プロセスはありません。このミッションは専門家が選ばれるまで継続されます。

選ばれた第2期監督評議会メンバー

今回の選挙では、25人の候補者の中から新しい3名のSCメンバーが選出されました。今後の6ヶ月間、SCメンバーはコミュニティを代表し、分散化ブループリントの設計に参加します。以下が各メンバーのプロフィールになります。

• Daniel Ospina：分散型ガバナンスと協力システムにおける12年以上の専門知識を持つ専門家です。彼はRnDAO（協力技術のベンチャービルダー、インキュベーター、およびプロダクトエコシステム）の推進者であり、TogetherCrew（コミュニティ主導の成長と行動分析的な洞察と自動化によってコミュニティビルダーの時間を節約する）の共同リーダーです。ステークホルダーの包括、参加型デザイン、ボトムアップの実験に焦点を当てており、小規模なパイロットプロジェクトから始め、成功をスケールアップする方法を提唱しています。また、SingularityNETの包括的な分散化の実現に取り組んでおり、「ネットワークとAIの時代」の善意の組織形成を探究し、支援することに期待しています。
• Grace Rachmany：新しい経済モデル、デジタル民主主義、トークノミクス、ブロックチェーンガバナンス、および分散技術の分野でのリーダーの一人です。彼女は分散型組織を効果的に導く方法に関する実践的な専門知識を持ち、ブロックチェーン分野で数百の組織と協力してきました。テクノロジーのリーダーシップ、イノベーション、マーケティングについての経験は35年にわたります。さらに、Voice of HumanityとPriceless Economicsプロジェクトの創設者でもあります。現在の仕事では、人間の協力、ガバナンス、生活環境、お金以外の経済システムに関するインフラの実験を行っており、DAO Leadershipを通じてDAOに関するワークショップとコンサルティングサービスを提供しています。彼女は多くの人々がAGI技術を人々によって統治すべきだと考えていることを強調し、SingularityNETにDAOのガバナンスとAI開発を組み合わせ、これらのテクノロジーが私たちの生活にどのように実装されるかに関与できることを光栄に思っています。
• Xhoni Shollaj：シンガポール国立大学の研究エンジニアであり、機械学習製品の開発と展開、自然言語処理、ディープラーニングなどの研究と特許開発、トークノミクスとスマートコントラクトの指導、AWSのMLプログラムを通じた学生指導、AI/MLおよびDeFi分野での国際コンペでの受賞歴を持つプロフェッショナルです。彼はSingularityNETの分散化に情熱を傾け、データの重要性に焦点を当てています。データの供給と寄与に対するトークン報酬の適切な割り当て、分散化されたリソースの開発に関する意義を強調しています。AI開発において、データプールから寄与者へのトークン割り当て、モデルデータ操作のための分散型データ交換を核とし、多層の人間エキスパートによるトレーニングと開発を提案しています。また、DAOによるリソースに基づくダイナミックなトークン割り当ても含まれています。彼は機械学習とブロックチェーン開発の知識を結集し、最適なDAOの構築に貢献する意欲的なメンバーです。