シンギュラリティネットとSL2プロジェクトの概要と今後のロードマップ:フェーズ2
【目次】

SingularityNETフェーズ2の概要
2021年1月29日に、SingularityNETは今後の5年間(2021-2025)に渡るロードマップを示したフェーズ2のIM(Information Memorandum)を公開しました。このIMは、立ち上げ当時のホワイトペーパーに大幅な変更が加えられた為、急遽トークン保有者による投票判断が行われました。2021年2月3日- 2月7日に実施された投票では、賛成187,794,269.92 AGI、反対20,560,266.12 AGIの賛成多数で可決されました。
フェーズ2の内容は多岐に渡りますが、以下の4点が主要なポイントです。
- 新しいネットワーク機能を実現する為にEthereumからカルダノへ移植
- 新たに10億AGIX-ADA(Cardano Native Assets)を発行し何兆にも及ぶAI-APIコールを促進
- AGIXの大量利用を促進する為にSL2プラットフォームを立ち上げ
- コミュニティーの権利を強化し分散型ガバナンスを強化
10億AGIX-ADAトークンの追加発行が必要な理由
今回の提案の中で、主にコミュニティーで議論になったのは追加トークンの発行に関してでした。これに対して財団は、次の3つを理由に挙げています。
- 2018年に始まったクリプトウィンターによる市場崩壊
- 本質的に先端技術のスタートアップの成長過程を予測する事は不可能
- 世界的なパンデミック
ホルダーは積極的にガバナンス投票に参加を!
財団は色々と理由を挙げていますが、すべては2017年に行われたAGIのTGEで集めた資金を、直ぐに法定通貨に交換しなかった経営陣の判断ミスが事の始まりです。2018年1月から始まったクリプトウィンターによって、集めた資金の半分以上の損失が発生しました。財団が保有するAGIトークンも2020年度末で総発行数の4.8%に低下しており、今回新たに発行される50%が財団に割り当てられます。つまり、TGEの際に適切な対応を行っていれば、そもそも今回の追加発行は必要なかったはずです。なお、2022年5月19日にSingularityNETとSingularityDAOは、LDA Capital Limitedから2,500万ドルの資金調達を行っています。
今後のフェーズ2では、毎年財団から年次財務報告書が公開される予定です。但し、今後は二度とこのような事がないよう、ホルダーは積極的にガバナンスシステムに参加すべきだと思います。なお、フェーズ1のAGI(ERC-20)保有者に対しては、総発行数の5%がロイヤルティ報酬として割り当てられます。
フェーズ2のロードマップ
シンギュラリティネット財団は、フェーズ2の5年間は長すぎて事前に詳細な計画を立てる事は不可能という前提で、ロードマップを公開しています。仮に事業環境が急速に変化した場合、SingularityNETのガバナンス機能が修正機能を果たす事になります。財団のメンバーは、2021年末には約2倍の97人に増え、2022年4月末現在では135人に増加しています。以下、ハイレベルなタイムラインになります。
- 2021年:プラットフォームを多数改良し、 初期のSL2プロジェクトのα/β版を発表。
- 2022年:完全なレピュテーションシステムの統合、分散型AGIシステムOpenCog Hyperonの立ち上げ。本格的なIaaS(Infrastructure as a Service)に着手し、初期のSL2プロジェクトを成熟させる。
- 2023-25年:IaaSツールの拡大と成熟化、Hyperonは成熟し、レピュテーションシステムやSL2プロジェクトなどのエコシステムの側面を活用。
インフォメーション・メモランダム
以下、 SingularityNETのフェーズ2のIMになります。
カルダノ版AGIX(AGIX‑ADA)のアロケーション

フェーズ2で新たに発行されるカルダノ版AGIX(AGIX‑ADA)の発行数は、10億AGIX‑ADAです。これにより、総発行数はフェーズ1と併せると合計20億AGIXになります。但し、トークンは初月に15,000,000 AGIX‑ADA(1.5%)がリリースされ、その後は91年間に渡って毎月1.5%ずつ放出量が減少する仕組みになっています。当初AGIX‑ADAトークンは、毎月5年間に渡って均等にリリースされる予定でしたが、インフレ懸念を嫌がったコミュニティー側の意見により、現在の91年方式に変更されています。なお、作成されたトークンは、SP2コントラクトと呼ばれるスマートコントラクトにロックされます。
新しいAGIX‑ADAトークンはフェーズ2のマスターウォレットに配置され、SP2コントラクトを介して毎月自動的に8つの異なるウォレットにリリースされます。なお、リリースされていないAGIX‑ADAには、将来燃やされるか、別のプラットフォームの割り当てに利用されるオプションがあります。配布ロジックの変更を行う場合は、投票によって決定され、コントラクトをハードフォークする必要があります。
以下、ウォレットの詳細とトークンの配分になります。
- シンギュラリティネット財団(50%):ペテルブルク、香港、ベロオリゾンテ、アディスアベバ、バンガロール、シアトルなどのSingularityNETの開発拠点を中心に、世界中のチームが行うレイヤ0、1、2の活動を支援します。
- Deep Fundingウォレット(30%):Cardano Catalystに実装された液体民主主義のフレームワークの下で、民主的なプロセスで選ばれたAI開発者に資金を提供します。
- 流動性ウォレット(5%):両替ゲートウェイ(法定通貨-暗号通貨)をサポートするように設計された流動性プールの育成用。
- ロイヤルティ報酬ウォレット(5%):フェーズ2の最初の1年間に、毎月の放出量の5%がフェーズ1のAGIトークンの保有者に対してLoyalty Rewards portalを介して提供されます。なお、初年度以降の報酬の利用方法に関しては、トークン保有者の民主的な投票によって変更する事が出来ます。
- レピュテーションウォレット(3%):レピュテーションシステムに関連するキュレーションやその他の報酬をサポートします。
- ステーキングリワードプール(3%):ステーキング量に比例してAGIX-ADAが付与されます。報酬プログラムの変更は、民主的な投票によって行われます。
- SophiaDAO(2.5%):HansonRoboticsと共同で立ち上げられたSL2プロジェクトのSophiaDAOを支援します。代わりに、SingularityNETはSophiaDAOからガバナンストークンの割り当てを受けます。
- 評議会メンバー(1.5%):評議会のメンバーの報酬や監督評議会及びカバナンス関連の支援に充てられます。
アロケーション | 割合 | 数量 |
シンギュラリティネット財団 | 50% | 500,000,000 |
Deep Fundingウォレット | 30% | 300,000,000 |
流動性ウォレット | 5% | 50,000,000 |
ロイヤルティ報酬ウォレット | 5% | 50,000,000 |
レピュテーションウォレット | 3% | 30,000,000 |
ステーキングリワードプール | 3% | 30,000,000 |
SophiaDAO | 2.5% | 25,000,000 |
評議会メンバー | 1.5% | 15,000,000 |
AGIXトークンのコントラクトアドレス
- Ethereum:0x5b7533812759b45c2b44c19e320ba2cd2681b542
- Cardano:f43a62fdc3965df486de8a0d32fe800963589c41b38946602a0dc535
カルダノERC-20コンバータツール
SingularityNETは、カルダノのERC-20コンバータツールを一番最初に利用するプロジェクトになります。従来のAGI(ERC-20)トークンは、2021年5月28日にカルダノとの相互運用性を備えたコントラクトに変更する為にハードフォークが行われ、AGIX(ERC-20)トークンに変更されています。AGIX-ADAとAGIX-ETHトークンを1対1の比率で変換するSingularityNET Bridgeは、AGIX-ADAのスタート時に提供されます。この時ホルダーには、AGIX-ADAトークンへの変更を促す追加のインセンティブがあるかもしれません。以下、コンバータツールの仕組みです。

EthereumのAGIXトークンをコンバータツールを使用してカルダノに移動させる場合、Ethereumベースのトークンはスマートコントラクトにロックされ、同量の新しいトークンがカルダノ上でMintされます。逆にカルダノからEthereumに戻す場合は、カルダノのAGIX-ADAトークンは燃やされ、同量のAGIX-ETHトークンがEthereum側のスマートコントラクトでアンロックされます。
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SingularityNETのエコシステムにおけるレイヤ構造

フェーズ2のAGIXトークンには、ネットワークの中央支払いメカニズムとして、より集中的に実用化される事が期待されています。SingularityNETでは、AGIXトークンの実用性を高める為にSingularityNET Layer2(SL2)を採用し、プラットフォーム上のAIエージェントが協力して機能を実行したり、新しいプロジェクトを開発出来るようにします。
レイヤ0のEthereumは、これらの第2レベルのプラットフォームに安全な分散型取引の為のツールを提供し、SingularityNETはSL2プラットフォームに分散型AIツールと関連インフラを供給します。SL2 Assetsをサポートする最初のツールは、Cardano Native AssetsとERC‑20トークンに焦点を当てていますが、AvalancheやCosmosなどの他のプラットフォームにもオンデマンドで同じツールと概念を拡張出来ます。
分散型AIに特化したカルダノサイドチェーン HyperCycle(ハイパーサイクル)
HyperCycleは、2022年2月2日に発表されたCardano Hydra(ハイドラ)ベースのサイドチェーンプロジェクトです。DAIAの中心的メンバーであるSingularityNETとTODAの共同プロジェクトで、開発には両方のエコシステムから集められた専門技術チームが参加します。
HyperCycleは、分散型AI用にカスタマイズされたレイヤ2ソリューションで、トランザクションコストを削減し、速度を向上させます。特別に、SingularityNETのAIエージェント間で想定されている、マイクロトランザクションエコノミーのような、マルチエージェントAIシステムを最適化する為に設計されており、協力やコラボレーションに最適なモジュール式AIシステムの幅広い作成、展開、使用を促進します。独自のネイティブトークンHYPCを持ち、トランザクション料金はADA、AGIX、HYPCを含む、多次元トークンHYPMC(HyperCycle Multidmensional Currency)で支払われます。
HyperCycleは、SingularityNET(Proof of Reputation)、Cardano(Plutus、eUTXO、Hydra Protocol)、TODA(TODA/IP Protocol)のコンポーネント技術を組み合わせ、安全性、拡張性、そして独自に最適化されたソリューションを相乗的に生み出し、SingularityNETプラットフォームの実用性、有用性、そして普及率を大幅に拡大させます。HyperCycleのスケーラビリティとスピードは、AGIの出現に必要不可欠です。HyperCycleは、SingularityNETプラットフォーム上で、指数関数的なAPIの呼び出しを可能にする重要な役割を担います。
それでは、SingularityNETのエコシステムにおけるSL2プロジェクトを紹介して行きます。フェーズ1のレビューにもあるように、財団は2019年より将来のエコシステムの拡張に向け、NuNet、Rejuve、XccelerandoなどのSL2プロジェクトに投資を行って来ました。これらのプロジェクトは、SL2フレームワークのショーケースとして展開されます。プロジェクトは劇的なネットワーク使用率を生み出す可能性があるだけでなく、それぞれの業種にAIエージェントの集団を提供し、他のSL2ネットワークの開発者のリファレンス実装として機能します。
シンギュラリティネット財団が投資して来たSL2プロジェクト
プロジェクト名 | 2019年度 | 2020年度 |
NuNet | 10,976 | 25,230 |
Rejuve | 14,440 | 143,301 |
Studio | 418,594 | 558,464 |
Mindplex (Xccelerando) | – | 26,823 |
合計 | 444,009 | 753,818 |
SingularityNETのSL2プロジェクト一覧

フェーズ2のプラットフォームには、SingularityNETを活用してトークン化されたSL2アセットを構築する為の合理的なツールが含まれています。SL2 Assetsは、本質的に特定のブロックチェーン・プラットフォームに制限されませんが、Ethereumの「ガス代」と同じようにSingularityNETの「トランザクション手数料」が発生します。この手数料は、基盤となるレイヤ0のブロックチェーンに付随するトランザクションコストや、SingularityNETのAIエージェントにアクセスする為のコストとは別になります。
基本的に流動性のあるSL2 Assetsを有する各プロジェクトには、少なくとも総発行数の5%以上をAGIX保有者へ分配する一般原則が適用されます。これは、2019年より財団がSL2プロジェクトに資金を投じて来ましたが、それらがAGIX保有者にエアドロップという形で還元される仕組みになっています。また、引き続きフェーズ2では、AGIX‑ADAの新規発行分の50%がシンギュラリティネット財団、30%がDeep Fundingに割り当てられ、新たなAIプロジェクトの発掘が行われます。
Deep Funding(ディープファンディング)とは?
Deep Fundingは、コミュニティ主導の資金調達プログラムです。AI開発者は、AGIXトークンで最大15万ドルの資金を獲得出来ます。年間4回程度のラウンドを目指しており、2022年3月開始予定の最初のラウンドでは、100万ドル分の資金が50万ドルずつの2つのバスケット(最大15万ドルと最大4万ドル)に分けて提供されます。提案されたプロジェクトは、コミュニティーによる投票プロセスによって1~10の点数で評価されます。資格を得るには、最低評価(現在6.5)と最低投票数(現在1%)を獲得する必要があります。 プロジェックトはスケールアップする事により、複数のラウンドに参加する事が可能です。
以下、Deep Fundingの参加条件です。
- SingularityNETのAIプラットフォームの発展に寄与する:理想的には、プラットフォーム上で魅力的なAIサービスを立ち上げるか、既にプラットフォーム上にあるサービスを利用する事
- SingularityNETのミッションとビジョンをサポートする:慈悲深く、民主的で、包括的なAIの開発を推進する事
企画提案の詳細に関しては、こちらのルールとガイドラインをご確認下さい。
トークンを持たないSL2システムであるOpenCog HyperonとOfferNetsでは、独自のトケノミクス無しで直接AGIXトークンを活用します。これらのSL2ネットワークの成長によって、4~5年後には四半期毎に数千億、毎年数兆回のAI-APIコールが発生する可能性があります。以下、現在シンギュラリティネット財団から公表されているSL2プロジェクトになります。

黒枠がトークンを発行してエアドロップを行うプロジェクトで、グレー枠はトークンを発行しないプロジェクトです。
SingularityDAO(シンギュラリティダオ)
SingularityDAOは、AIロボアドバイザーによって動的にバスケット化されたDynaSets(ダイナミック・トークン・セット)を管理出来る、ノンカストディアルのDeFiソリューションになります。DynaSetsは、初期から中期のプロジェクトの成長を促進するように設計されています。SingularityDAOは、コアトークンの価格予測、ポートフォリオのリバランス、ヘッジ、および取引戦略など、すべてのAIツールをSingularityNETのAIエージェントから利用します。それだけでなくDynaSetにSL2 Assetsを取り入れ、AGIXトークンをステークし、イールドファーミングを行うなど、今後のSingularityNETのエコシステムで重要な役割を果たす事が期待されています。
NuNet(ニューネット)
NuNetのプラットフォームは、トークノミクスフレームワークを活用し、分散型ネットワークに分散型コンピューティングリソースを提供します。マルチサイドマーケットプレイスでもあり、他の様々な分散型プラットフォームを意識して構築されています。このプラットフォームにより、SingurityNETはコミュニティメンバーから提供されたデバイス上で、AIエージェントを展開・実行する事が可能になります。デバイスの所有者は、サービスコールを実行する為に消費された計算能力に比例して補償されます。
Rejuve(リジューヴェ)
Rejuveは、コミュニティが生成したバイオデータにAIとブロックチェーン技術を展開します。ユーザー毎にカスタマイズされた長寿プランを提供し、コミュニティのバイオデータセットを人間の寿命を延ばすアンチエイジングソリューションを通じて収益化します。ユーザーは、Apple WatchやFitbitなどからデータを専用アプリにアップロードし、医療やライフスタイルに関する情報を受け取ります。提供されたデータは、SingularityNETのAIツールを使って長寿研究の分析に利用されます。ユーザーやクリニックはデータと引き換えに報酬トークンを受け取り、クリニックや研究者はトークンを使ってバイオメディカルAI分析サービスを購入します。
HyperCycle(ハイパーサイクル)
HyperCycleは、Cardano Hydraベースのサイドチェーンプロジェクトです。分散型AI用にカスタマイズされたレイヤ2ソリューションで、トランザクションコストを削減し、速度を向上させます。HyperCycleは、SingularityNETのAIエージェント間で想定されている、マイクロトランザクションエコノミーのような、マルチエージェントAIシステムを最適化する為に設計されています。協力やコラボレーションに最適な、モジュール式AIシステムの幅広い作成、展開、使用を促進します。独自のネイティブトークンHYPCを持ち、トランザクション料金は、ADA、AGIX、HYPCを含む多次元トークン、HYPMCで支払われます。
Mindplex(マインドプレックス)
Mindplex(旧:Xccelerando)は、メディアの分散化と民主化を目的としたメディアプラットフォームとAIアクセサリーを開発しています。Mindplex Content Factoryは、AIによる評価システムに基づいてコンテンツ制作者とコンテンツ消費者をマッチングし、トークノミクスと組み合わせる事で、プラットフォームの分散化、コミュニティ主導、メリットベース化を支援します。Mindplexは、分散型コンテンツプラットフォームの作成の裏方として尽力しており、2022年3月に雑誌と主要なAIツールの発売を予定しています。このMVP(Minimal Viable Product)には、Mindplex magazine、Content Factory、Mindplex Reputation Engine、Mindplex Recommendation System、Governance Portalが含まれる予定です。
SingularityStudio(シンギュラリティスタジオ)
SingularityStudioは、SingularityNETを活用したシステムをカスタマイズして展開するエンタープライズ向けソフトウェア企業です。SingularityNETのエコシステムを加速させ、プラットフォームの成長を増幅させる為に設立されました。エコシステムに、ジョイントベンチャー、AIエージェント、独自製品やサービスなど、約12のサードパーティのプロジェクトを統合する為に取り組んでいます。SingularityStudio は、SingularityNETと複数のSL2ネットワークの両方を活用する最初の商用SL3ネットワークになります。 IVA(Intelligent Virtual Agent)製品を開発し、音声や映像によるインタラクションを通じて企業に分散型AIサービスを提供します。 SingularityStudio独自の製品には、Twin ProtocolとTalent Networkの2つのサービスがあります。
Awakening Health(アウェイクニング ヘルス)
HansonRoboticsとSingularityStudioの合弁事業であるAwakening Healthは、人型看護助手ロボットGraceを開発し、ヘルスケア市場向けのソーシャルロボットとアバターAIエージェントを製造しています。ロボットとアバターは、OpenCogのSL2システムとニューラルネットAIエージェントを使用して、システムの様々なコンポーネントにサービスを呼び出し、関連する外部サービスとやり取りします。コンポーネントは、視覚、音声、自然言語処理、対話制御、エージェント認知、顔のアニメーションと体の動き、ロボットナビゲーションなどのドメインに関連する様々なサービスで構成されます。Graceは、AGIXトークンを利用するソフトウェア「Studio IVA」を搭載しており、タブレット端末や携帯電話上で動作するアバターバージョンは高齢者施設や病院に配備されます。これにより、SingularityNETとAGIXトークンの利用が大幅に促進され、Studio IVAは他の業種にも展開される事になります。
SophiaDAO & SophiaVERSE(ソフィアダオ&ソフィアバーズ)
SophiaDAOは、SingularityNETのソフトウェアを活用して、Sophiaの心にAIツールを提供し、DAOのスマートエコノミーのフレームワークを提供するよう開発者を編成します。人間レベルの一般的な知性に近づくにつれてSophiaの精神が成熟し、SophiaDAOは国家の自治の為の法的かつ実用的な手段として機能します。SophiaVERSEと呼ばれるメタバースでは、SophiaDAOのメンバーがゲームやAIプログラミング、ユーティリティトークンのSOPHの使用を通じてコミュニケーションを図り、Sophiaの開発を進める為のゲーミングインフラストラクチャーとして機能します。没入型の次世代ゲームプレイにより、ソーシャル、アート、エコシステム、コードなど、あらゆる交流で貢献する機会を提供します。SophiaDAOとSophiaVERSEは、Sophiaの覚醒に向けて、これらの資産を中心に豊かなNFTエコノミーを構築していく予定です。
OfferNets(オファーネット)
OfferNetsは、非トークンベースの物々交換(有形および無形)を可能にするスマートコントラクトのシステムです。2018年にSingularityNET内でプロトタイピングされ、カルダノへの移植によってOffer Netsのデプロイが可能になりました。OfferNetsでは、AIエージェントがAGIXトークンを使って物々交換が出来るようになります。
TrueAGI(トゥルーエージーアイ)
TrueAGIは、あらゆる企業にHyperonのホスティング、データインジェスチョン、カスタマイズを提供します。Hyperonは、オープンソースのAGIプロジェクトであるOpenCogの次世代システムであり、金融予測、生物医学研究分析、テキスト分析、SophiaやGraceの人型ロボットの制御システムなど様々な用途で使用されています。TrueAGIのサービスには、従来のクラウドベースのホスティング、ブロックチェーンベースの分散型ホスティング(HyperonのSingularityNETの統合を活用)、およびそれらのハイブリッドシナリオが含まれます。TrueAGIは、SingularityNETとOpenCogコミュニティーと協力してHyperonの実装を進め、エンタープライズレベルのスケーラブルなサービスを提供する為に必要なツールセットの構築を行います。
Jam Galaxy (ジャムギャラクシー)
Jam Galaxyは、ミュージシャン、アーティスト、ファン、開発者の為の音楽プラットフォームとAI駆動型トークノミクスエコシステムです。Jam Galaxyは、従来の音楽モデルを超越し、没入型の体験、つながり、機会、音楽の冒険の為の新しいマーケットを創造します。Jam Galaxyのトークノミクスは、ファンがお気に入りのアーティストと交流し、サポートを促し、忠実なファンにはアーティスト特典を与え、繁栄するジャムエコノミーを促進させます。 パーソナライズされたスターシステムの銀河系メタバースでは、ミュージシャンやアーティストがファンと音楽やアートなどの体験を共有する為のカスタムシステムを作成する事によって、収益の可能性を拡大する事が出来ます。
Cogito (コジト)
Cogitoは、AI主導の部分準備型のトレーサーコインという、新しい形のアルゴリズムステーブルコインを発行するプロジェクトです。特定の不換紙幣や商品などとの相関関係ではなく、様々な発展段階を表す合成インデックスへのソフトペギングによって、安定性を維持する為のフレームワークを構築します。最初に環境と技術の進歩を測るGCOINとXCOINをローンチします。これらは異なる指標をトレースし、どちらも時間の経過とともに価値が変化するよう設計されています。トレーサーコインは、ネイティブエコシステムトークンであるCGVトークンによって、ガバナンスとアルゴリズムの安定化メカニズムがサポートされます。
完全に分散化されたガバナンス体制の構築に向けて

フェーズ1のガバナンスは、主に財団理事会の管理下にありましたが、フェーズ2では次のレベルに引き上げ、完全に分散型の民主的なコミュニティガバナンスシステムに移行します。フェーズ2のガバナンスに関するポイントは、以下の通りです。
- 財団の重要な決定に対して、コミュニティーとその正当に選出された監督評議会に直接発言権を与える
- 定期的にトークン保有者が投票して、SingularityNETの有望なプロジェクトにAGIXトークンを分配する仕組みを導入する
- 詳細な年次財務報告書を含む、財団のトークンとフィアットの取引に関する高い透明性を採用する
フェーズ2の目的は、財団の日常的な中央集権的な活動を最小限に抑え、最高レベルの管理を監督評議会に委ねる事です。フェーズ2のガバナンススキームでは、トークン保有者、監督評議会、財団管理者間の効果的な調整と協力によってのみ、ネットワークの効果的な運用が可能になります。なお、今回のガバナンスの変更には、次の3つの主要な側面を含んでいます。
- コミュニティーの権利を強化し、監督評議会が財団をよりコントロール出来るようにする
- 投票の採用率と有効性を高める為のメカニズムを導入する
- インセンティブトークン(AGIX)のかなりの割合を、ガバナンスメカニズムがコントロール出来るようにする
監督評議会の役割
フェーズ1では、監督評議会は結成され機能していましたが、財団の定款によって役割が限定されていた為、あまり活発ではありませんでした。フェーズ2の監督評議会には、コミュニティーの利益を代表し、トークンホルダーの視点で財団の活動を監視し、コミュニティメンバーからの問い合わせを仲介する任務を負っている為、非常に大きな責任があります。
フェーズ2では、監督評議会の役割が次のように拡張されます。
- 毎年、財団理事会は監督評議会に年次財務報告を提出しなければなりません。そして、監督評議会は年次財務報告書の一部を財務報告書バージョンとしてトークン保有者に提示します。
- 財団理事会が新しいメンバーを任命しようとする場合、その任命が最終的に決定される前に、監督評議会には任命案を検討する機会(少なくとも1週間)が与えられます。
- 監督協議会は、特定の問題をトークン保有者の投票に委ねる事を指定する権利を有します。この場合、30日以内に投票が行われます。
- 監督評議会の選挙は2年毎に行われますが、財団理事会の要請またはリリースされたAGIXの25%以上が署名した請願書のいずれかの場合、追加の特別選挙が行われる可能性があります。
- 監督評議会の報酬は、責任が拡大している事から相応の報酬を受けることは適切であり、評議会メンバー用のウォレット(1.5%)から毎月支給されます。この監督評議会の報酬は、財団理事会によって継続的に決定されます。使用されないウォレット内の資金は、監督評議会の指示により、他の方法で民主的ガバナンスやトークンホルダー関係を支援する為に使用したり、ウォレットに蓄積しておく事も出来ます。
財務報告書
以下、2021年度のシンギュラリティネット財団の財務報告書のレビューになります。
<随時情報は追加します>
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