ソングバード(Songbird)の概要とソングバードトークン(SGB)の使い方
Songbird(ソングバード)の概要
Songbirdは、2021年9月17日にローンチされたFlare Networkのカナリアリリースのプラットフォームです。カナリアリリースとは、一部のユーザーに新しい機能を利用させる事によってトラブルを未然に防ぎ、段階的に移行する手法を指します。Flare NetworkのCEO Hugo Philion氏によれば、PolkadotのカナリアネットワークであるKusamaのコンセプトを参考に考案されたようです。Songbirdでは、Flare Networkのローンチに先立ち、チームと開発者が本番環境でSongbird版のFTSO(Flare Time Series Oracle)、State Connector、F-Assetシステム、ネットワークアーキテクチャーの継続的なテスト運用が行われます。これにより、Flare Networkの立ち上げに向けて、ベースとなるネットワークのセキュリティ、安定性、信頼性を向上させる事が出来ます。
Songbirdは、以下の3点の主要な目的を持ちます。
- Flare Networkのローンチ後も、新しいF-Assetの導入、FTSOやF-Assetシステムの変更、その他のネットワーク変更など、Flare Networkに対する長期的なガバナンス主導の変更テストを行います。
- Flare NetworkのDAppsの高度なテストとコミュニティーの構築の場になります。Flare Networkで起動する全てのDApps、特にFTSOやF-Assetシステムを利用する場合は、最初にSongbirdでテストを行う事が理想となります。
- FLR保有者が、シグナルプロバイダーへの委任、F-Assetの発行や償還など、Flare Networkのプロトコルに慣れ、FLRトークンを危険に晒す事無くDAppsを利用出来るようにします。
本番環境のテストを兼ねた収益機会
Songbirdは、Flare NetworkのCostonのようなテストネットではありません。FLRに代わるオリジナルのベースカレンシーSGBを持ち、Flare Networkから完全に独立したネットワークとして機能します。新しい開発やDAppsの立ち上げは、まず最初にSongbirdで行われる可能性が高く、Flare Networkよりもリスクは高いですが、無限の可能性を秘めた先進的なネットワークになる事が予想されています。
Songbirdには以下、Flare Networkと同じ4つの収益機会があります。
- S-AssetsのSGBリワード・ドロップ:Songbirdの資産であるS-Assets保有者には、毎日S-Assets全体の保有価値の比率に基づいて、SGBが報酬プールから与えられます。事前に定義された報酬プールはなく、供給はFlare財団によって行われます。
- FTSOのオラクルリワード:SGB保有者は、シグナルプロバイダーの運営や投票権の委任によってオラクル報酬を獲得出来ます。初年度の報酬は、最初に流通するSGBトークンの10%に設定されています。
- エージェントによる収入:エージェントとして、S-AssetsシステムにSGBを担保に提供・維持する事で、手数料収入とアービトラージの機会を得る事が出来ます。
- 他ネットワーク上におけるDeFi運用など:アルゴリズムステーブルコインであるSXRPなどは、SongbirdだけでなくCosmosやPolkadotのような相互運用性プロトコルを介して、他のネットワークでも利用する事が可能になります。
Songbirdは継続的に運用される独立した実験的プラットフォーム
なぜ、Songbirdが必要なのでしょう。Flare Networkの主なユースケースは、DeFiを想定したアルゴリズムベースのステーブルコインの発行です。マーケットでは相互運用性を兼ね備えた流動性プロバイダーとしての役割が期待されています。Flare Networkのローンチには、シグナルプロバイダーの分散性や取り扱うアルゴリズムステーブルコイン(F-Assets)の流動性や担保率、更にはノードだけでなくオリジネーターやエージェントなど、直接コミュニティーの参加率などもネットワークの課題として挙がって来ます。従って、プロジェクトは慎重に進められる必要性がありそうです。
また、他のチェーンなどでは未だにセキュリティ監査を受けたプロトコルが攻撃されており、DeFiのような全く新しい世界では、予測不可能な行動の接点が攻撃の対象として狙われています。Flare Networkの事業は、すでに事前に予想された以上の規模になっており、決して失敗がゆるされない状況です。Songbirdは、Flare Networkの信用を高める為の実験的なプラットフォームとして機能します。なお、SongbirdはFlareチームによる長期的な開発が約束されている訳ではありません。Flare Networkよりも潜在的に大きなリスクがある事を理解してご利用下さい。
参考までに、以下Flare Networkの概要です。
ぞくぞくと提携プロジェクトが対応を発表、更なるエアドロップも!
現在Flare Networkには、Flare Finance、888、Sparkles、Panther、Gala Games、Aurei、Kings of Strategyなど、いくつかの提携プロジェクトが存在します。その内、すでにFlare Finance、Aurei、Kings of StrategyがこのSongbirdにも参加する事を表明しています。
また、Flare FinanceのExFi(Experimental Finance)に至っては、Songbird上で展開されるEXFIトークンが、SGB保有者にエアドロップされる事が発表されています。以下、Flare Financeの概要です。
セキュリティと監査
Songbirdはカナリアネットワークで、開発コードはFlare Networkがベースです。Flare Networkは、現在メインネットのローンチ前にTrail of Bitsも含めた3社からセキュリティ監査を受ける予定になっています。SongbirdではS-AssetやFTSOシステム、サードパーティのDAppsのテスト運用が本番環境で実施されます。Flare Networkは、Songbirdでの徹底的なテストが行われた後、2021年9月末から最終監査が行われる予定です。
評判の高い監査済みのプロジェクトであっても、スマートコントラクトに資金を預けることは常にバグや虚弱性のリスクを伴います。CeFiとDeFiは異なります。資金はCeFiと併用して運用し、失っても良いと思う金額以上は、絶対に預けないようにしましょう。
Songbirdトークン(SGB)のエアドロップ
Songbirdには、総供給量が決まっている独自のトークンSGBがあります。開始時の総供給量は150億SGBで、初年度はFTSOとバリデータの報酬により年間10%のインフレ供給が起こります。現在、事前に決まった報酬プールは存在せず、今後の供給はFlare財団に委ねられます。SGBはFlare Networkのユーティリティフォークの受け取り対象者に、FLRの初期配布の15%と同じ枚数だけエアドロップされます。あなたが受け取れる予定のSGBは、スナップショットの時点で保有していた1XRPに付き0.1511SGBの割合で計算する事が出来ます。
エアドロップは、Flare Networkのユーティリティフォークの時とは異なり、ユーザー配布の有無に関わらず全ての正式サポート取引所に割り当てられます。取引所にはユーザー配布以外に、燃やす、取引所の資産にするなど、複数の選択肢があります。従って、もしあなたが取引所を通じてFLRを請求していた場合、SGBの配布を依頼しなければなりません。
日本の取引所連合に関しては、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と金融庁(JFSA)が2022年6月12日までにFLRの各取引所への上場を承認した場合、フレア財団はFLRとSGBの両方を配布します。その後の取り扱いについては、各取引所が関連する規則や方針に基づいて決定されると、フレア社の公式サイトで説明されています。
一方で自己管理をしていた方には、FLR申請時のEthereumスタイルのアドレス宛に配布されます。Songbirdへのアクセスには、Binance Smart ChainやFlare Networkと同じEthereumスタイルのアドレスを利用しますが、別のChain IDを使用します。
Songbird便利ツール
- Flare Network Potal:Songbirdのガバナンス投票に参加出来ます。
- XRPSCAN:自己管理で申請した方は、XRPアドレスを入力するとSGBとFLRの受け取り数とアドレスが確認出来ます。
- Bifrost Wallet:Towo Labs社が提供するトークンのラッピングとFTSOプロバイダーへの委任機能を兼ね備える無料のモバイルウォレットアプリ。
- Songbird Explorer:Songbirdのトランザクション、アドレス、トークンなどを調べる事が出来ます。
- FlareMetrics.io:SongbirdのFTSOプロバイダーの手数料、委任数、投票力、報酬レートなどの情報を確認する事が出来ます。
- Chainlist:Ethereum Virtual Machine(EVM)の中から、MetaMaskを適切なChain IDに接続する事が出来ます。
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ソングバードを始める前に
まずはじめに、Songbird系のDAppsやシグナルプロバイダーへ委任を行うには、Metamaskなどのネットワーク設定と専用ウォレットが必要です。以下、2つの手順について解説します。
1)MetaMaskのウォレット設定
Songbirdでの高金利DeFiサービスを利用するには、Metamaskのウォレットが便利です。まだお持ちでない場合はこちらからインストールして下さい。
Songbirdは、Ethereum Virtual Machine(EVM)を使用しています。従って、最初にMetaMaskのネットワーク設定をデフォルトのEthereumメインネットから、以下のSongbirdに変更する必要があります。
Songbirdのネットワーク情報
- Network Name:Songbird
- New RPC URL:https://songbird.towolabs.com/rpc
- Chain ID:19
- Currency Symbol :SGB
- Block Explorer URL:https://songbird-explorer.flare.network/
以下、設定手順になります。実際にSongbirdでMetaMaskを利用する際は、このネットワーク設定を追加してから利用して下さい。
1.MetaMask上部の「Ethereumメインネット」をクリック
2.一番下の「カスタムRPC(リモートプロシージャコール)」をクリック
3.ネットワーク情報を入力して「保存」をクリック
4.「Songbird」が設定されたら完了
2)Bifrost Walletのダウンロード
次に、シグナルプロバイダーへの委任に必要なウォレットをダウンロードします。委任方式は2種類あり、手続きにはMetamaskやBifrost Wallet、D’CENT Walletなどの専用ウォレットが必要です。
Towo Labs社が提供するBifrost Walletアプリは、iOSはApp Storeから、AndroidはGoogle Playの公式ページから無料でダウンロード出来ます。
シグナルプロバイダーとFTSOシステムについて
ソングバードでは、誰でも任意のソースから価格データを読み取り、FTSOコントラクトの専用APIに送信する事で報酬を得る事が出来ます。価格シグナルを送信する為には最低限の投票権が必要です。優れた価格シグナルを供給するプロバイダーには、報酬としてSGBが与えられます。あなたがシグナルプロバイダーを運営したくない場合、投票権を価格シグナルを送信する他のFTSOアドレスに委任する事で報酬を得る事が可能になります。
FTSOシステムの加重中央値アルゴリズム
FTSOシステムは、オフチェーン資産の価格データをソングバードのスマートコントラクトの為に収集するサービスです。このシステムには、SGB保有者がシグナルプロバイダーに正確な価格提出を促すインセンティブ設計が導入されています。FTSOシステムには、「価格エポック」と「報酬エポック」の2つのエポックがあります。価格エポックは、シグナルプロバイダーがFTSOコントラクトに価格シグナルを提出する3分毎の期間を指し、報酬エポックは7日毎に委任先の変更と獲得したリワードを請求出来る個別期間を指します。これらのエポックの期間は、将来ガバナンス投票によって変更する事が出来ます。
価格データは、シグナルプロバイダーによって数分単位で行われる価格エポックに提出されます。価格エポックには、コミットメントスキームが導入されており、 シグナルプロバイダーは「コミット期間」に価格データを提出し、すべての価格シグナルは「公開期間」を経て、直ぐに投票力(Vote Power)が加味された加重中央値アルゴリズムによってFTSO価格が決定されます。
価格データは加重中央値の50%に入っていれば優れた価格提示とみなされ、新しくミントされたインフレトークン(SGB)が、各シグナルプロバイダーの相対的な投票力に応じて分配されます。シグナルプロバイダーには、正確なタイミングでTxを送信して維持をする内部メカニズムが求められます。
投票権付きトークンWSGBとS-Assets
ラップドソングバード(WSGB)はラッピングされたSGBを表し、FTSOシステムの価格シグナルの提示プロセスで使用されます。SGBはEVMの技術的な理由により、直接委任する事が出来ません。WSGBは保有者のアドレスから別のFTSOアドレスへ投票権を委任する事をサポートしています。あなたはSGBをWSGBコントラクトに送信する事で、Deposit APIを介してラップする事が出来ます。SGBとWSGBは常に1:1の割合で交換可能で、WSGBコントラクトからトークンを引き出す事によってSGBに戻す事が出来ます。
但し、SGBとWSGBでは用途が異なります。SGBはネットワークのガス代の支払いに利用され、WSGBは価格シグナル提出時の投票権として委任出来ます。従って、ネットワークの利用の際には手数料が必要になるので、すべてのSGBをラップしないでガス代を残して下さい。
シグナルプロバイダーの優れた価格提示に対するリワードは、WSGB保有者にのみ与えられます。しかし、投票力はWSGBだけでなくS-Assetsも加味される為、シグナルプロバイダー自身がS-assets保有者にもインセンティブを与える可能性があります。これらの価格シグナルが決定されるオラクルの仕組みは、こちらの公式ブログで確認する事が可能です。
シグナルプロバイダー(FTSOプロバイダー)への委任方法
シグナルプロバイダーへの委任は1つのアドレスで複数個所に行う事が可能です。以下、2種類のタイプがありますが、一度いずれかの方式を選択するとアドレスはその方式に固定されます。
- Percentage(パーセンテージ):最大2つの委任先にパーセンテージ(%)で設定する事が出来ます。新たにウォレットに追加されたWSGBは、あらかじめ設定された委任比率(%)に基づいて自動的に割り振りされます。
- Explicit(エクスプリシット):WSGBの金額に基づいて委任する事で複数のシグナルプロバイダーを設定する事が出来ます。一般的にDAppsのスマートコントラクトで利用され、ガス代がパーセンテージ方式より高価になります。
委任したシグナルプロバイダーの投票力が高い程、価格エポックの送信データの中央値の50%に入る可能性が高くなります。しかし、特定のシグナルプロバイダーが多くの投票力を獲得してしまうと、中央集権的なリスクを抱えてしまいます。そこでソングバードの投票力には、上限の制限(エポック68より10%から2.5%に変更)が設けられています。 制限値を超えた投票力は最大値の2.5%に縮小され、委任者の報酬が減少する仕組みになっています。
投票権のロックとリワード請求
すべての報酬エポックは、毎週土曜日の08:41 UTC頃開始されます。7日間に渡る報酬エポックが終わると、採掘されたブロックの最後の四半期(3/4~4/4)の中から、最終的な委任先が決定するブロックがランダムに決定されます。一度この投票ブロックが決定された後であれば、次の報酬エポックに向けて委任先を変更する事が出来ます。
報酬エポックの期間内に獲得したリワードは、次のエポックが始まる7日後まで請求する事が出来ません。また、ネットワークのセキュリティ機能により、1日あたりに請求出来る数に限りがあります。毎週土曜日に限り約3日分で、1日1回リワードマネージャーに残高が補充されます。リワードマネージャーが空になった日は、再度別の日に請求する必要があります。
なお、リワードの請求は90日間に限り有効です。有効期限を過ぎたリワードは失効し、報酬プールに戻され、次のエポックで再利用されます。
<随時情報は追加します>
カルダノステークプール【OBS】
暗号通貨革命では、カルダノステークプール(ティッカー:OBS)を運営すると共に、皆様に役立つ有益な情報を無償で提供して行きます。ADAステーキングを通しての長期的なメディア&プール支援のご協力の程、何卒よろしくお願い致します。
お世話になっております。FLAREやSGBに関しての記事大変参考になります。ありがとうございます。一つ質問です。
metamaskとbifrostwalletの設定は行ったのですが、シグナルプロバイダー(FTSO)への委任方法が良くわかりません。
Percentage(パーセンテージ)、Explicit(エクスプリシット)の2つの方式があるとのことですが、どのように設定するのでしょうか?
(お問い合わせでも同じ質問を入れております。お手数ですがよろしくお願いいたします)
こんにちは。委任方法の詳細についても今後紹介する予定です。しかし、まだ始まったばかりでウォレトの画面遷移も今後変更されそうなので二度手間を省く為に遅くなりそうです。お急ぎの場合は、以下のbifrost社(パーセンテージ設定になります)の説明ページを参考に手続きを行って下さい。
https://support.bifrostwallet.com/en/articles/5588951-wrap-and-delegate-songbird
宜しくお願い致します。
早速、丁寧にご回答いただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。