Venus Protocol(ヴィーナス プロトコル)のXVSトークンの概要とDeFiレンディングで稼ぐやり方
Venus Protocol(ヴィーナス プロトコル)の概要
Venus Protocol(Venus)は、2020年11月24日にローンチしたBinance Smart Chain(BSC)でのみ動作する、マネーマーケットとSynthetic Stablecoin(合成ステーブルコイン)を提供するDappです。BSCのDeFiマーケットにおいて最初に分散型ステーブルコインを発行し、貸し借りサービス開始したプロジェクトになります。アルゴリズムベースのマネーマーケットプロトコルは、中央制御なしでデジタル資産の貸借とステーブルコインと暗号資産(BEP20)に裏付けされたバスケット型ステーブルコインの発行を実現します。Venusの利用者は18,000人を超え、プロトコルには総額20億ドル近くがロックされており、BSCで最大のTVL(Total Value Locked)を誇るプラットフォームになります。Venusは金星を意味し、Facebookのバスケット通貨であるLibraの天秤座に対抗して作られました。現在、新興国の規制当局や中央銀行と話し合いを進めており、今後各国とのパートナーシップに向けて動いているそうです。
Venusは、EthereumベースのCompoundとMarkerDAOのフォークコードをべースに改良されており、両者の利点を一つにまとめて設計されています。BSCなので低速で高額なガス代を必要としません。プロジェクトは、Binance LaunchpoolとPancakeSwapのSyrup poolを活用して、VenusのガバナンストークンであるXVSを配布した事により、大きく知名度を上げる事に成功しました。
Venusに携わるチームは、2020年11月現在公開されておらず、表向きは創設者や幹部スタッフも不明という事になっています。しかし、開発はデジタルウォレットと暗号資産のデビットカード事業を行うSwipeのチームによって全面的にバックアップされています。Swipeはフィリピンに本社を置き、英国とエストニアで事業を展開しています。なお、Swipe自体は2020年7月にバイナンスによって買収されています。
Swipeチームは、2021年の5月18日に起こったVenus事件後にこのプロジェクトから撤退しました。今後は新しいチームと経営陣に再編される予定です。
VenusのDeFiレンディングの特徴は、ローンの貸し手だけでなく借り手にも、流動性の供給のインセンティブとしてXVSを提供する点にあります。さらに金利報酬を貰いながら預け入れした担保の最大50%以内の範囲で、無利子で合成ステーブルコインVAIをミントして借りる事が出来ます。もちろん借り入れしたVAIは換金して利用する事も可能ですが、プラットフォーム上でステーキングする事で高い利回りでXVSを受け取る事が可能です。
以下、Venusの3つのコア機能になります。
- Supply:サポートされている担保資産をプロトコルに預けて流動性を提供する事によって金利を得る事が出来ます。
- Borrow:過剰担保融資。信用調査無しで供給した資産価値の60%(2020年2月14日現在)まで借入が可能です。
- Synthetic Stablecoin:1ドルに固定された合成ステーブルコインであるVAIを発行出来ます。
今後の展開
2021年中には、インセンティブ付きオーダーブック型の取引所Venus DEXやXVSのインフレを抑える為の新しいリワードトークン(VRT: Venus Reward Token)の導入、変動型ではなく固定金利ベースのデジタル資産の貸借マーケットなど、多くの新規機能の導入が計画されています。
なお、新たなリワードトークンVRTは、2021年5月15日(ブロック番号7479562)にスナップショットが行われ、1XVSに対して1,000VRTの比率でVENUS NFTと伴にXVS保有者にエアドロップされます。※配布自体は5月17日-24日です。
以下、ホワイトペーパーになります。
セキュリティと監査
Venus Protocolは、Swipeを通してブロックチェーンのセキュリティー企業であるCertiKによって、正式に検証され監査及び保護されています。このCertiKには2018年にBinance Labが出資しており、2021年1月にはBinanceの公式セキュリティパートナーになっています。Venusの監査レポートやセキュリティ状況の詳細は、コチラで確認出来ます。
評判の高い監査済みのプロジェクトであっても、スマートコントラクトに資金を預けることは常にバグや虚弱性のリスクを伴います。CeFiとDeFiは異なります。資金はCeFiと併用して運用し、失っても良いと思う金額以上は、絶対に預けないようにしましょう。
VenusのDeFiレンディングの概要
Venusのレンディングサービスでは、現在ステーブルコインや暗号通貨も含めて18種類のアセットに対応しています。あなたが供給した資産は、市場で取引可能な債権トークンであるvToken(vXRPなど)としてVenusの個別プールで管理されます。供給した資産はスマートコントラクトによって管理されており、コチラのページに記載されているアドレスから残高を確認する事が出来ます。あなたが提供した資産は、いつでもプールから引き出す事が出来ます。Venusでは、2021年5月12日よりオラクルをBand ProtocolからChainlinkに変更しています。Chainlinkの価格フィードは、ローンの発行と清算の2つのプロセスにおける担保の価格設定に利用されています。
以下、Venusのマネーマーケットに対応しているアセット一覧になります。
Liquidity Provider | 対応アセット |
Lending | BNB, BTCB, ETH, USDT, BUSD, USDC, SXP, XVS, BETH, DOT, LINK, DAI, XRP, LTC, FIL, BCH, ADA, DOGE |
Borrowing | BNB, BTCB, ETH, USDT, BUSD, USDC, SXP, XVS, BETH, DOT, LINK, DAI, XRP, LTC, FIL, BCH, ADA, DOGE(VAI) |
DeFiの世界では借りる方が受け取る報酬が多い場合がある
さて、DeFiレンディングであるVenusでは、あなたのレンディングの対価はどのような形で支払われるのでしょうか。分散型のマネーマーケットのVenusでは、貸し手と借り手はプールを通じて仲介されます。双方の金利はアルゴリズムによる変動金利が導入されており、CeFiのレンディングサービスように固定レートではありません。大きな違いはローンの貸し手だけでなく、借り手にも流動性提供のインセンティブとしてXVSが報酬として提供される点にあります。それでは実際にXRPの貸借を例にみて行きましょう。
XRPの場合:2021年2月14日の特定ブロックにおけるケース
- Lender(貸し手):APY 7.02%(内訳:XVS 5.95% + XRP 1.07%)
- Borrower(借り手):APY 18.08%(内訳:XVS 22.98% – XRP 4.89%)
上記は貸し手と借り手の報酬になります。1ブロックあたり3秒毎に支払われる年複利率(APY)は、Lenderには7.02%の金利が支払われ、Borrowerにも18.08%の金利が支払われます。
つまり、DeFiの世界では貸し手より借り手の方が儲かってしまうという、従来の世界観では考えられない現象が起こり得ます。これを実現するのが、VenusのガバナンストークンであるXVSの存在です。XVSは、貸し手と借り手である流動性プロバイダー(LP)へのインセンティブとして機能します。
Lenderの場合、金利の7.02%の内このXVSで5.95%が支払われ、残りの1.07%がXRPで支払われます。一方のBorrowerの場合、金利の18.08%の内22.98%がXVSで支払われ、借り手は4.89%のAPYでXRPを支払う義務があります。XRP単体の利率の差額だけ見ると3.82%の過剰になりますが、BorrowerよりLenderの方が多いのが実情です。これらのプロトコルの金利はアルゴリズムによって動いており、特定の市場の需給とイールドカーブ(利回り曲線)に応じて変動します。
Marketで需給バランスが確認出来る
左フレームのMarketをクリックし、表示されたページで対象資産をクリックすると、現在の流動性の金額やLenderとBorrowerの人数、借入限度額やイールカーブによる金利など詳細な情報を確認する事が出来ます。
Tokenomics(トークノミクス)
それでは次にトークノミクスです。現在Venusには、以下のガバナンストークンであるXVSと合成ステーブルコインであるVAIの2つのネイティブトークンが存在します。これらは、どちらもBSCのBEP20になります。
- Venus Token (XVS):BEP20
- Vai(VAI):BEP20
- Venus Reward Token(VRT):BEP20 (今後導入予定)
1)Venus Token (XVS)
まずはVenusのネイティブトークンであるヴィーナス(XVS)について解説します。XVSは、2020年10月6日にバイナンスのイノベーションゾーンに上場しており、2021年2月19日にはメイントレーディングゾーンに昇格しています。XVSには、以下のような特徴があります。
- 流動性マイニングに参加したことに対する報酬として支払われます。
- 主に商品の改善、新しい担保の統合、プラットフォームのパラメータの変更など、Venusのガバナンスの決定における投票に使用されます。
Distribution(配布)
VenusのXVSトークンの総発行数は30,000,000XVSです。このプロジェクトはICOなどのトークンセールは行っておりません。2020年9月29日にLaunchpoolのステーキング報酬として、総発行数の20%に当たる6,000,000XVSが配布されました。Binance Smart Chain Ecosystemには、PancakeSwapのSyrup pool初のプロジェクトとして300,000XVSが配布されました。残りの総供給量の79%がVenusのEcosystem Miningに割り当てられ、今後4年間に渡り流動性マイニングの報酬として、1日当たり18,493XVS、1ブロック当たり0.64XVSが配布されます。
配布先 | 割合 | 数量 |
Binance Launchpool | 20% | 6,000,000 XVS |
Binance Smart Chain Ecosystem (PancakeSwap) | 1% | 300,000 XVS |
Ecosystem Mining | 79% | 23,700,000 XVS |
Ecosystem Miningの内訳
以下が流動性プロバイダーに配分される内訳になります。
- Lending Pool(35%):他の人が借りるための資産を預けることによって利息を受け取るユーザーに配布
- Borrowing Pool(35%):資産を借りてプラットフォームに利息を支払うユーザーに配布
- Stablecoin Pool(30%):プラットフォーム上でVAIをミントしてステイクしたユーザーに配布
配分先 | 割合 | 数量 |
Borrowers | 35% | 8,295,000 XVS |
Lendders | 35% | 8,295,000 XVS |
Stablecoin Minting | 30% | 7,110,000 XVS |
XVSの配布スケジュール
初期に総発行数の21%が配布され、残りの79%が流動性供給のインセンティブとして4年間に渡り徐々に配布されます。
2)Vai(VAI)
VAIは、Venusプラットフォームで作成及び利用されるバスケット型のネイティブ分散型ステーブルコインです。VAIは、1米ドルに固定された合成ステーブルコインで、プロトコルに供給される同じ担保によって発行されます。あなたは、預け入れした対象担保(vToken)の最大50%の範囲内でVAIを発行して無利子で借りる事が出来ます。VAIは、2021年2月4日にバイナンスのイノベーションゾーンに上場しています。
3)Venus Reward Token(VRT)
VRTは、Venusプラットフォーム上の貸し手と借り手に追加のマイニング報酬として導入予定のインセンティブトークンです。XVSのインフレ率を徐々に下げ、その過程でXVSを燃やす事を目標としています。総供給量は300億VRTで、4年間に渡って配布されます。VRTの配布率は、ガバナンス投票によって制御されます。この新たなリワードトークンの導入により、XVSの配布は当初の予定であった4年から2倍の約8年になる予定です。
Venusを始める前に
まず、VenusなどのBSC系のDAppsを利用するには、バイナンスの口座やTrust WalletやMetamaskなどのウォレットが必要です。ほとんどの方は既にバイナンスの口座をお持ちだと思いますが、まだの方はこちらから口座を開設して下さい。以下のページでは、バイナンスの口座開設方法とMetamaskのネットワーク設定について解説しています。まだバイナンスの口座をお持ちでない方や、BSCを初めて利用する方は必ずご覧ください。
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Venus Protocolの利用手順
今回は、以下3つの流れについて解説したいと思います。
- Supply:流動性プロバイダーとしてVenus Protocolにデジタル資産を供給
- Borrow:供給した資産を担保に合成ステーブルコインVAIを発行
- Staking:発行したVAIをステーキング
1)Supply
それではVenusのDAppにココから接続して、実際にプラットフォームでDeFiレンディングを初めてみましょう。あなたは流動性プロバイダーとして参加する事で報酬を受け取る事が出来ます。Venusへの流動性の供給は至ってシンプルです。Metamaskなどのウォレットで接続して、スマートコントラクトにステーブルコインと暗号資産(BEP20)を提供するだけです。金利は、1ブロック3秒毎に預けた資産とXVSで支払われます。なお、vTokenの償還には引き出し手数料(Withdrawal Fee:0.01%)が発生します。
以下、流動性供給の手順になります。
Supplier(レンディング)の手順:XRPの場合
① ②
1.管理画面をスクロールして供給したい通貨をクリック(今回はXRP)
2.XRPとXVSの利回りを確認して初回のみ「Enable」をクリック
③ ④
3.MetaMaskが開くのでトランザクション手数料を確認して「確認」をクリック
4.MAXを押して「Supplay」をクリック
⑤ ⑥
5.MetaMaskが開くので適切なガス代を選択して「確認」をクリック
6.Supplay Balanceに預け入れ金額が反映されたら完了
⑦
7.XVSの金利報酬は左フレームの「Vote」のVenus Earnedで確認出来ます
2)Borrow
Venusのローンサービスは、過剰担保融資サービスです。信用調査無しで供給した資産を担保に借入する事が可能です。また預け入れした担保資産の最大50%の範囲で、1米ドルに固定されたVAIを0.01%の発行手数料で無利子で借りる事も出来ます。2020年2月14日現在、すべての預け入れ可能なトークンには60%の担保率が設定されており、借入限度額は「Dashboard」の割合を示すバーで表示されています。
Venusのサプライヤーの資産は自動清算措置によって保護されており、ボロワーの借入金額が担保資産の60%を上回ると、彼らの担保資産は自動的に清算され保護される仕組みになっています。但し、ボロワーの預け入れした担保は一度に全てが清算される訳ではありません。借り入れ限度額が100%を超えると、ボロワーに代わって清算人(ボット)が担保の最大50%を清算します。その際に、清算人に支払われる15%のペナルティ手数料が別途掛かります。※ペナルティ手数料は、2021年5月3日に10%から15%に変更。
例:100ドルを預けて60ドルを借りた場合「担保の50%の30ドルが清算+ペナルティ手数料4.5ドル:合計34.5ドル」で清算してくれます。これらのイベントは、担保の資産の価値が下がった場合や借りた資産の価値が上がった場合に起こります。
Borrower(ボローイング)の手順:VAIのMintの場合
① ②
1.担保として利用したい通貨の「Collateral」をクリック(今回はXRP)
2.MetaMaskが開くので適切なガス代を選択して「確認」をクリック
③ ④
3.「Collateral」が赤色に変わったら「Mint / Repay VAI」をクリック
4.「SAFE MAX」をクリックしてVAIを発行
⑤ ⑥
5.MetaMaskが開くので適切なガス代を選択して「確認」をクリック
6.Borrow Balanceに借入金額が反映されたら完了
3)Vault Staking
Venusでは、サプライヤーよりボロワーの方が高い利回りが得られる異常事態が発生しています。しかし、サプライヤーは借り入れしたVAIを換金して利用する事も可能ですが、プラットフォーム上でVAIをステーキングする事で、ボロワーより高い利回りで運用する事が可能になります。なお、VAIは現在無利子で発行出来、ステーキングの報酬はVAIではなくStablecoin PoolよりXVSで支払われます。
以下、ステーキングの手順になります。
ステーキング(Staking)の手順
① ②
1.左フレームのから「Vault」をクリックして初回のみ「Enable」をクリック
2.MetaMaskが開くのでトランザクション手数料を確認して「確認」をクリック
③ ④
3.「MAX」をクリックして「Stake」をクリック
4.MetaMaskが開くので適切なガス代を選択して「確認」をクリック
⑤ ⑥
5.「VAI Staked」にステーキングが反映されたら完了
6.時間の経過と伴に「Available VAI rewards」に報酬が反映される
Repay(返済)の手順
預け入れ資産の価値が目減りした場合など、借入金額が限度額を超えると担保が自動的に清算されてしまいます。あなたはDashboardの借入限度額を常にチェックし、マーケットが動いた場合は即座に対応しなければなりません。借入資産の返済は、借入した時の逆の流れで手続きを行う必要があります。
今回は、以下2つの流れについて解説したいと思います。
- Unstake:ステイクしたVAIの解除
- Repay:Mint(発行)したVIAの返済
ステーキングの解除(Unstake)の手順
① ②
1.左フレームから「Vault」をクリック
2.MAXをクリックしてWithdrawをクリック
③ ④
3.MetaMaskが開くので適切なガス代を選択して「確認」をクリック
4.「VAI Staked」から「Available VAI to stake」にVAIが移動したら完了
VAIの返済(Repay)の手順
① ②
1.トップページで戻り「Mint / Repay VAI」をクリック
2.初回のみRepay VAI Balanceの「ENABLE」をクリック
③ ④
3.MetaMaskが開くのでトランザクション手数料を確認して「確認」をクリック
4.MAXをクリックして「Repay VAI」をクリック
⑤ ⑥
5.MetaMaskが開くので適切なガス代を選択して「確認」をクリック
6.Borrow Balanceがゼロになったら完了
Vote(投票)
XVSトークンは、主に商品の改善、新しい担保の統合、プラットフォームのパラメータの変更など、Venusのガバナンスの決定における投票の際に使用されます。VenusのXVSトークンにはプレマインが無く、創業者などのチームメンバーにも割り当てが一切無い為、ガバナンスは完全にコミュニティメンバーによって管理されています。
ガバナンス機能には以下のようなものがあります。
- プロトコルへの新しい暗号通貨やステーブルコインの追加
- すべての市場での変動金利を調整
- 合成ステーブルコインの固定金利設定
- プロトコルの改善・提案に対する投票
- 委任プロトコルのリザーブ配布スケジュール
提案の作成には300,000XVSを保有している必要があり、少なくとも提案が承認されるには定足数が600,000XVSに達する必要があります。コチラのフォーラムのページでは、Venusのガバナンスに関する議論が行われています。
<情報は随時追加します>
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