時間から「個人情報」が利子を生む時代へ 富の再分配を可能にする情報銀行がやって来る

世界のリーダーは、共通目的として格差社会の縮小を掲げています。世界経済フォーラム(WEF)では、2020年までにロボットやAIなどのテクノロジーによって、世界の国や地域で500万人が失業すると予測しています。我々人間としての本質的な「価値」が大きく変化しようとしています。

経済学者のケインズは、孫の世代の経済的可能性(1930年)の中で、「100年後、人類は歴史上初めて余暇をどう楽しむか悩むようになる」と予想しました。以下、その概要になります。

いま(第一次大戦後で大恐慌時代)は経済的にはひどい状況にある。でも長期的に見れば、経済は 17 世紀末から急激な成長をとげてきた。これは、急激な技術革新と、資産/資本の蓄積があったから可能になった。イギリスの資本は 3.25 パーセント成長を続けている。これがもっと続けば、経済はまちがいなくずっと豊かになる。機械失業などは起こるが一時的なものだ。すると、人類の経済問題は基本的に解決してしまう。

そのとき、人間は何をするだろうか。いまは勤勉がよいこととされているし、多くの人は暇と自由に耐えられないだろう。少なくなった仕事を広く薄く共有して何とか仕事を続けようとするかもしれない。一方で、働く必要がなくなれば道徳もかわり、これまで金持ちや高利貸しを肯定してきた価値観が否定される。本当の生き方をわきまえた人が、余暇を十分に使えるようになる。これまでの金持ちや高利貸し翼賛は、資本蓄積を実現するための方便。それが十分に終われば、尊敬されるのは本当にいまを充実して生きられる人物だ。ただし、それが実現するのは百年以上先。そのうえで、いまのうちから人生を楽しむ準備をしておいてはいかが?

孫たちの経済的可能性 Economic Possibilities for our Grandchildren (1930) 「ジョン・メイナード・ケインズ 訳:山形浩生」

第4次産業革命の本質は「物質」から「精神」の時代への変化

最初の産業革命は、水と蒸気によって生産を「機械化」しました。第2の産業革命は、電力によって「大量生産」を可能にします。第3の産業革命は、エレクトロニクスと情報技術による生産の「自動化」です。今、第4次産業革命の始まりを迎えていますが、デジタル社会における最も重要な資産はデータです。AIとビックデータの時代では、個人一人一人の精神的な側面(道徳:倫理)が、一層重要になって来る時代が予想されます。

世界経済フォーラムが提供する第4次産業革命の紹介動画のイントロでは、『人は自然の産物だという概念が変わり、ヒトの身体のハイテク化が進み、何が自然で人工的なものか区別が付かなくなる。私達の頭の中は宇宙で最も複雑な構造物であり、「超人になれるか自問して欲しい」』という、刺激的なメッセージからスタートします。

日本における第4次産業革命の話題は、IoTや自動運転、AIなどが中心ですが、どうやらこれが本質のようです。人類はすでにDNAを切らずにゲノム編集が可能であり、そして核(太陽)も作れる。頭の中を理解出来れば、宇宙さえも理解出来るようです。

第4次産業革命 | 完全版- [日本語] 「World Economic Forum」(2016.4.19)

DLTは、超人(SUPER HUMAN)を創造する為のツール

AI時代を迎えるにあたり、経済活動のインセンティブして機能する、貨幣に関する考え方や社会構造も大きく変化しつつあります。過去このブログでは、「Bank in pocket」の真の意味は、誰でも「信用」さえ築ければ、スマホで銀行のように「価値」を創造する事が出来る事を学びました。データの履歴を把握出来るDLT(分散型台帳技術)は、その信用を担保します。

日本政府は2018年度の法整備に向け、ネットの購買履歴や個人情報を一括管理が可能な「情報銀行」の創設に動いています。また「改正個人情報保護法」や「共謀罪」など、あらゆる角度でデータ(情報)に関する規制が進んでいます。一方で、日本版レギュラトリー・サンドボックスなど、新たな取り組みが試験的に導入しやすい環境整備も検討されています。もはや人の感情や思想に(脳)にアクセス出来る未来では、言論の自由は時代遅れで「思想の自由」が重要なようです。私達は今、破壊と創造の転換期にいます。

それでは、この情報銀行とは一体どのような仕組みなのでしょうか。日本経済新聞では、以下のように説明しています。

情報銀行は企業や公共機関が個別に保有する個人データを預かり、本人の同意を得た上で企業側に個人に関する情報やビッグデータを提供して手数料を得る。事業者はシステム会社や情報通信会社などを想定している。

「情報銀行」創設へ実験  政府、年内に 個人データ預かり保管、加盟企業に提供 「日本経済新聞」(2017.2.14)

指針案では、以下4点を中心にまとめているとの事。

  1. 個人情報を預ける利用者に対し、事前に情報の提供先や目的を明示すること
  2. 情報の利用状況を逐一、確認できるようにすること
  3. 利用者の求めに応じて情報の提供を停止したり、削除したりする仕組みを導入すること
  4. トラブルが起きた際には「情報銀行」が窓口となって対応すること

現在の貧富の格差の問題である「時間」が利子を生む形から、個人情報が利子を生む世界へ動き出しつつあります。そもそも近年の物理学者によれば、時間という概念は人間の記憶によって作り出される幻想にすぎず、存在すらしないと言います。

時間は実在するか?

「日経サイエンス」 2010年9月号

エストニアだけでなく日本でも!世界規模でID一元化が進む

エストニアでは、「X-Road」と呼ぶシステム間連携基盤を活用し、政府機関や民間企業が保有するデータベースを分散型でつなげ、誰でも国民のデータへアクセスする事が可能です。データは共有され非効率はなくなり、一つのIDカードで住民票、保険証、パスポート、運転免許証、キャッシュカード、公共交通機関の電子マネーなど、あらゆる認証を済ませる事が出来ます。このような取り組みは、日本の福岡市でも孫泰蔵氏が支援し、実証実験が開始されているようです。今後は政府や民間のID一元化だけでなく、国境を超え世界規模で進んで行くと思われます。

国連の難民支援プロジェクト「ID2020」では、Accentureや米Microsoftがブロックチェーンと生体認証技術を使い、異なる組織の記録保管システムをつなぎ資格証明を取得出来る、デジタルIDの開発に取り組んでいます。公的な証明書を持たない難民は、世界で11億人いると言われており、このデジタルIDで存在証明を提示し、従来困難であった医療や教育、金融サービスなどを受けることが可能になるようです。AccentureやMicrosoftは、Rippleとも提携しています。


Rippleのクリス・ラーセン氏は、2013年のインタビューでこう答えています。

David Schwartzは、Ripple内にソーシャルネットワークを構築出来る仕組みを考えています。評価システムも入ってくるだろう。非常に優秀な人達がそこに参加すれば、オープンプロトコルにとって大きな力になります

今後この個人情報は、生体認証を含むマイナンバーなどのID情報に決済やローンなどのデータに加えSNS上での発言など、あらゆる経済活動と紐付いて行くでしょう。新たなクレジットスコアという概念が、世界規模で構築されて行くに違いありません。

情報銀行は、社会に貢献出来る「共通の目的」を与えてくれる

情報銀行のアイデアは、2012年にTEDxTokyoでコンセプトが紹介されています。私達は、ヘルスデータや遺伝子データを提供する事によって、病気にならない予防法を発見する事が可能になります。AIやロボットに労働が奪われる中で、情報銀行は社会に貢献できる「共通の目的」を与えてくれるに違いありません。


世界中の人達が、身分に関係なく公平で平等にデータを提供できる環境が整えば、「超人」を創造するという、共通の目的に貢献出来ます。情報銀行に預けたデータは、あなたの新たな形の資産として計上されるかもしれません。情報銀行からのインセンティブは、グローバルなベーシックインカムとしての側面もありそうです。病気にならずに永遠の命を手に入れれば、社会保険制度すら要らなくなる可能性もあるでしょう。


ケインズも認める経済学者ゲゼルは、国家が責任を持って管理するインフレもデフレもない通貨制度を理想としました。

情報銀行の私的情報とDLTが結びつけば、いつ、誰が、何の為に、どのような情報を扱ったか確認する事が出来、AIは個人情報から産まれる生産財に価格を付け、今よりも遥かに効率的な資源配分が行える事になるでしょう。新たに世界中央銀行総裁に就任する、SUPER HUMANによって…。

TEDxTokyo – Ryosuke Shibasaki – Information Bank – [日本語] 「TEDx Talks」(2012.6.30)

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